山崎工務店は秋田県由利本荘市にある“とっても古くから大工仕事を続けている小さな工務店”です。私で七代目、二百年を少し超える歴史がありまして、住宅や店舗などの新築・増改築・リフォーム工事、古民家の移築・再生など木造の建築物をおもに公共工事も手がけます。

住宅業界を取り巻く環境は、出生率の低下によって持ち家率が高まり、早晩リフォームか建て替えかの選択が主流になると思われます。今や大手の住宅会社や異業種からもこぞってリフォーム市場に参入を始めています。そのような環境の中で“古くからの大工仕事”を生業としてきた私どもにとっても、より存在価値を高め、日々の業務活動を皆様に発信する必要を感じております。

　時代という流れの中その時々に要求される様々な課題に即応してきた私どもにとって、今一番に必要性を感じていることは住宅の長寿命化です。大量消費時代が終わり、住まわれておられる方々と共にお住まいも長生きをしてもらわなければなりません。過去幾多の地震災害で「生命・財産」が失われ、発生時“家が危なくていられない”という事態に、“家は命をはぐくむもの”を自負してきた私どもにとって大きな衝撃でした。被災住宅の多くは築年数の古いものですが、そのほとんどが大なり小なりのリフォームを受けている住宅です。 “あの時、家が倒れないように考えておけばよかった”と悔やみきれないのは住んでいる方だけで、業者が何も指摘できなかったことは恥ずべきことです。

　以来、私どもは既存住宅の確かな耐震技術の取得に努め、リフォームのご依頼があった際には必ず、「耐震診断」をおすすめしています。ほんのついでにするわずかなことでも、的確に手を施せばその分だけでも住宅の耐力は向上します。そしてその結果をお客様に把握していただくことがプロとしての責務だと考えます。お住まいの現状を知り、今できないことはまた後でやればいいんです。 そうしてご理解をいただき、リフォームの度にお住まいを健全な状態に保ち続けることが、どんなささいなことでも長い期間にわたり“家守り”としてお客様に頼られる存在となれ、また選ばれる存在となり得るのだと考えます。